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ああ、禁煙VS.喫煙・講談社文庫
2013年4月
松下奈緒ちゃんが「ねえ、リッチしよ」と言うCMがありますね。 あれで世の中の男ども、だいたい250万人が「ねえ、エッチしよ」と聞き間違えて、ニヤニヤしたでしょうね。松下奈緒ちゃんには何の罪もないけれど、CMを作っている奴のしたり顔を想像するとなんかイヤです。

本書で姫野さんも「エッチした」とは何だ!と怒っていますが、自宅にTVがないという姫野さんはこのCMを知らないかも。

さて、なんと言ってもタイトルにもなっている「禁煙」「喫煙」の話。 私自身は禁煙して8年の元ヘビースモーカーです。さらに20年ほど飲食店をやっていましたので、喫煙にたいする店側の考え方もわかります。

私がやっていた店は自分で言うのも何ですが非常に気取ったスノビッシュなBARでした。 カクテルがメインでしたが、スコッチのシングルモルトウィスキーやワインなどもそこそこ取り揃えていました。そして私はマニアのお客さん相手に酒の味や香りについてのウンチクを語ったりしていたわけです。ああ、恥ずかしい。

今になって告白すれば、当時の私はタバコの吸いすぎでウィスキーやワインの様々な香りを嗅ぎ分ける鼻を持っていませんでした。それでも香りを語れたのは知識と経験とそして想像力のたまものですが、もうちょっと下世話な言い方をすると口からでまかせと言いますか適当にそれらしき言葉を見繕ったと言いますか・・・。

酒のテイスティングなどの時に使う「香り」は英語では「smell」じゃないなあなどと思いながら辞書を引くと

「smell a smoker a mile away」

「たばこを吸う人を1マイル離れたところからでも嗅ぎ分ける」 などという例文がありました。

「smell a rat」

「うさんくさい」 なんてのも。

やっぱりここはScentがしっくりくる単語ですね。

「The scent of roses consists of more than 300 different elements.」

「バラの香りは300種以上の成分で構成されています。」

で、Scent---単語---タンゴ---と言えば

アル・パチーノの「Scent of a woman」

曲はタンゴの名作ガルデルの「Por una Cabeza」

いや実は最近タンゴがマイブームでして、埃をかぶっていたギターなどを引っ張り出して少し練習をしています。

え〜っと、話を本書に戻して言葉の誤用の話。私も昔から気になってしょうがなかったのがあって、人が私のBARを「こだわりの店」とか言う度に、私のいろいろ考えて試行錯誤して作ったカクテルを「マスターこだわりの一品」とか言われる度に、違和感で胸焼けしそうでした。だって、「こだわり」を辞書で引くと、

「ちょっとしたことを必要以上に気にする。気持ちがとらわれる。」

「拘泥(こうでい)する。」

ですよ。ちっとも誉めていないじゃあ〜りませんか。

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