『青春とは、』 文藝春秋 2020年11月
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ちっともキラキラしていない。でも、青春だった。 配偶者なし、子どもなしの彼女がコロナ下のひきこもり生活で思い出したのは、共学の公立高校で過ごした日々のことだった。 暗く、息苦しい家庭で育てられ、劣等感に苛まれながら生きていた。自由に友達に電話もかけられず、遊びにもいけず、お小遣いももらえなかった。でも、「学校」でも生活だけは自由だった。 重信房子好きの先輩から送られてきた詩。共学校においては肩身が狭いはずなのに、それを気にしていないように見えたスポーツのできない男子。いつもマスクをつけていて七十二歳くらいに見えた先生。京都会館で恩師と見た、ミッシェル・ポルナレフ―――。 昭和五十年代のフツウの青春が、いま鮮やかに描きだされる。 by文藝春秋出版局
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