直木賞作家『姫野カオルコ』(姫野嘉兵衛)の応援サイト。ディープな読者も初めての方も大歓迎。

『何が「いただく」ぢゃ!』 プレジデント社刊
2019年7月

8月1日、発売記念のイベントが下北沢の本屋B&Bで開催されました。本書は食の月刊誌『dancyu』に連載されていたものを加筆修正して刊行されたもので、編集長の植野広生さんとの対談のような形で盛況でした。


補足情報(8月10日)

『何が「いただく」ぢゃ!』のp35のアジのヒメノ式。

8月1日のイベントでは実物がちょっと写真と違っているということで、姫野さんが実際に作ってそれを参加者が味見するというスペシャルプレゼントがありました。

みなさん興味深々で姫野さんから手にのせてもらったソース(タレではなくてジュレ状なので手に乗る)を食べるというか舐めていました。そうです。このヒメノ式の特徴は酸味ではなくて苦味なのでした。

すだちは、緑の部分をサラサラッと削るのではなくて、ガリガリと白いワタの部分までぜんぶすりおろします。そこに少量の調味料を加えるだけであら不思議。あっと言う間にアジのヒメノ式ができるんです。

アジで、このジュレ状のものを、巻いて食べる(アジにのせて食べる)というかんじです。







写真は後日ジキルがレシピ通りに作ったもの
姫野さんの読者は私などを含め年齢層は高めで、dancyu読者はもちろん少し若い年齢層の方たちだったかなと思われます。タイトルになった「いただく」については、年齢高めの私たちにとっては違和感ありが共通認識(基本的に敬語謙譲語の誤用であろう/という)なのですが、も少し若いかたがたにとっては食べログなどで見慣れた使い方で特に問題と感じていないようでした。

言葉の変容というのは。ある面では時代の変化とともにゆっくり進行して気が付いたら意味が180度違っていることもあって、何と言うか違和感を持つ者にとっては隔靴掻痒の感があります。

植野さんが、「こだわり」という言葉を使わないようにしていると言っていました、実は私も昔やっていたバーのホームページなどで「こだわり」という言葉を使わないようにしていました。植野さんの言うように本来は固執したり拘泥する意味なので、良い意味ではりませんね。しかし当時はよくお客さんから「いやー、マスターこだわってるねえ」などとよく言われましたし、時折ネットなどで紹介された時も「こだわりの店」とか書かれたりしました。

さて、その店の問題ですが本書によると、姫野さんにとって良い店は「まとわりつかない店」なのだそうです。ようするに客と店との距離感が適正なことが重要なのです。店をやっていた者からすれば。店の常連になってわがままを言えることをある種のステータスと思っているような人が多いなあというのが実感なんですけど。そういう人からすると、私はちょっと気難しいオーナーだと思われていたでしょうね。

ただし、例えばカクテルのオーダーを受ける時にジンの銘柄を指定されたり、酸味の強さや甘みのバランスを指定されたり、というのはまったくいやではありませんし、わがままとも思いませんでした。実は私がいやだったのは連れの女性の飲み物を勝手にオーダーしたり、女性がトイレに立った隙に「マスターなんか飲みやすくて強いカクテル。作ってやって」と酔わせて口説く気まんまんで言う奴(ここはあえて客でなく奴)。

そんな時はフルーツふんだんに使って、飲みやすいく色彩もデコレーションも綺麗なカクテルを作りました。で、ちょっと「味はどうですか」と質問をすると「もう少し酸味があるのが好き」とか、味に関する好みの情報が得られるので次のカクテルの参考にしました。女性は2杯目三杯目と少しづつ自分の好みに合ったカクテルがでてくるのでどんどん飲みます。

男性はにやにやしながら妄想を膨らませていますが、いつまでたっても女性は酔っ払いません。それもそのはず通常よりアルコール弱めに作っているんですから。結局男性が先に酔っておかしいなぁとか言いながら高い勘定(フルーツをふんだんに使うので安くはありません)を払っていたものです。・・・って、いつの間にか本の話じゃなくて私の話になってしまいました。

本の話にもどりましょう。食に関するエッセイですから、さまざまなレシピがでていますが、ウイスキーに合わせるつまみのおすすめが衝撃でした。ネタバレを避けるために料理の名前だけお伝えしますと「スパゲッティのガブリエル・デストレとその姉妹風」です。?????ふっふっふ。わかりませんよねー。わたしも食べたことないのでわかりません。わかりませんが、この発想は空前絶後・驚天動地のヒメノ式。本サイトでヒメノ式と言う場合は、世間ではあたりまえとされて疑問もなく流通していること・もの・考え方に一石を投じる姫野さん独自の発見を指します。

実は私の店では酒は数百種類カクテルは収集したレシピだけでも2000種以上ありましたが、つまみはナッツとチョコレートしか置いていませんでした。なので、酒と合わせるつまみに関してはまったく知識がありません。まさに「知るはうまい(c)植野広生」であります。「汁はうまい」ぢゃありませんよ。

イベント当日はそれこそ危険な暑さで、会場の下北沢に4時頃着いてしまった私は30数年ぶりの下北沢をちょっとぶらぶらしたらもう暑さでダウン。慌ててカラオケボックスに入って、せっかくだからと好きな曲をだーっと入れてBGMとして聞きながら休んでいました。膨大な曲リストから好きな曲を探すのも意外に手間で、途中から年代で選ぶことにして1968〜1975年ぐらいの曲をランダムに選曲することにしました。そんな中で思わず歌ってしまったのが「若葉のころ」

本書の『小さな恋のメロディー』のティータイムp48の最後にでてくる謎の呪文のような言葉「ウェナイワスモー、エンクリスマトリーズアトール・・・・」はこれなんです。

作品紹介目次へ
ページのトップへ戻る