直木賞作家『姫野カオルコ』(姫野嘉兵衛)の応援サイト。ディープな読者も初めての方も大歓迎。

バカさゆえ・・・。・角川文庫
96年7月
若さゆえー・・・なぁやみぃー・・・っとぉ。これは姫野カオルコの文筆家としての技術と才能はパロディやらせても一流の証明。しかし労作です。文体といいディティールといい物凄い労力が注がれた過程を考慮することなく、ダッハッハと笑える我々読者は幸せ者。私もちょっと香山リカとフロイトでパロディ書こうかと思って文献用意しました。フロイト博士の幼児性愛の相手が香山リカ(もちろん医者の方)で、執筆しながらデスク下に潜った香山リカにフェラチオさせてる所に、ユングが夢分析をしてもらいに来て・・・。って考えただけで実際に書くのは至難の技。ただこのタイプのパロディは昔、筒井康隆がやってたような・・・。

「奥様は魔女」「タカラのリカちゃん」「良寛」「アタックNo1」「あしたのジョー」「タクシードライバー」「ケンちゃん雲に乗る」いやこうして並べて見ると幅広いというか、芸風が読めないというか。個人的にオリジナルを良く知ってて、そのまま楽しめるのは鼻下ピコピコの「奥様は魔女」打つべしの「あしたのジョー」モヒカン・デ・ニーロの「タクシードライバー」裏の名作「洗濯屋ケンちゃん」でした。リカちゃんはちょっと別世界だし、「アタックNo1」は半分弱しか覚えてません。

世代的なズレでほとんど知らない人も多いと思いますが、そこは文壇の吉本興行姫野カオルコ。ちゃんと解説もしてくれてます。それにしてもちょっとダミ声で「ジョォォォー」と言えば、城卓也でも城ミチルでもジョー山中でもジョー・サンプルでもジョー・コッカーでもなく、「矢吹ジョー」だった時代と世代が存在することの不思議。 姫野カオルコは同時代人の脳裏に刻まれたノスタルジックな想いを、耳掻き棒の反対側の綿帽子みたいのでコチョコチョ刺激するようなのが異常にうまいです。テクニシャンです。
作品紹介目次へ
ページのトップへ戻る