蕎麦屋の恋(イーストプレス刊)・・・「天国に一番近いグリーン」より抜粋・・・BGMはジキル作曲の「天国に一番近いグリーンのサンバ」。角川で文庫化された「蕎麦屋の恋」には本作は収録されませんで、祥伝社文庫のアンソロジー「ワルツ」に「ゴルフ死ね死ね団」と改題して入っています。ってことは、この曲も「ゴルフ死ね死ね団のサンバ」と名を変えねば。 死ね死ね、パパパヤー。
死ね死ね、パパパヤー。
きょうれつなサンバのリズムに乗って、彼らはやって来る。
中原銀座のアーケード。
プラスチックの桜もゆれる。
彼らがふりまわす棒の風圧で。
買い物中の市民はぎょっとして通路をあける。
んぱっ、死ね死ねっ。
んぱっ、死ね死ねっ。
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「まったく、へんなのは今の日本の奴らで、われわれがへん
なわけではないはずなのに、なんでこんなふうになっちまっ
たんだろうなあ。ハァーッ。わしはアレ自体に嫌悪感が
あるというんじゃないんだ」
「わたしだってそうですよ。
アレ自体がいけないわけじゃないですわ」
「オレもさー、そうだよー。アレはずーっと
長いことできるからいーんじゃないかなーって」
「私だってそうですよ。われわれはなにも、アレをやめろ、
って言ってるわけじゃない。アレをしないのがへんだという
ようになってしまった現状がへんだ、って言いたいわけさ」